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北海道の緊急事態宣言が終了されましたが、まだまだ油断できない状況が続いています。
新型コロナウイルスの影響により先行きが見えず公私ともに様々な活動が制限されている中で、4月の入社式や新入社員研修の対応をWEBで実施する会社が増えています。
入社式や新入社員研修の実施にあたって各企業は概ねこのように対応しています。
・入社式は中止、あるいは規模、時期、WEBを活用する等実施方法を変更する
・新入社員研修は規模や期間、WEBを活用する等実施方法を変更して実施する
今回のテーマは、「インターネットやテレビ会議システムを介した研修をする際に注意するポイント」について、弊社がWEBを使ったセミナーや研修の進行をする上で留意していることをご案内します。
*今回は、インターネットにアップした動画を視聴する形式の研修ではなく、集合形式で実施してきた研修をWEBシステムで置き換えた場合を想定していますので、予めご注意頂ければと思います。
研修の実施にあたってインターネットやテレビ会議システムでの代替は充分可能です。
ただし、何でもかんでもそのまま代替可能かというとそうではありません。
集合形式と同じような認識で進めてしまうと思わぬところで失敗します。
新入社員研修実施の目的は会社により様々かと思われますが、
「学生という立場から社会人や自社の社員としての立場へキャリアステージを転移できるようにすること」はどの会社も共通した目的ではないでしょうか。
新入社員研修の実施内容の代表的な例としては、
・「(会社や団体名称)〇〇の●●さん」と周囲から認知されることについて自覚すること
・社会人としてのマナーや言葉遣い、組織の一員としてルール(就業規則等)を知り、それらを守ることを求めること
・ビジネスとして仕事が成り立っていることを理解し、プロ意識を醸成すること
等が挙げられます。
これらを新入社員研修での座学教育を始めとしたインプットや言語化する為のアウトプットのループを繰り返し自分事化し、配属後、成功体験・失敗体験といった体験学習を積み上げて社会人としてのステージに移行していくというものになります。
新入社員研修の代表的な実施内容を目的別に整理するとこのようになります。
・情報の共有
(例:マナーや言葉遣いの基礎、就業規則や業務規則の理解、ビジネス構造を理解する等)
・アイデアや意見出し
(例:インプットや課題に対して自分自身の考えを整理して他者に伝える力を養う等)
・検討やディスカッション
(例:議論の上でチームとして合意形成した上で最終化する協働プロセスを理解する等)
・模擬体験
(例:ビジネスマナーや言葉遣いを研修の場で練習・体験する等)
情報の共有は基本的にはインプットですので、情報の発信は一方通行になります。
従ってテキストを用意したり、資料を画面で共有して、インターネットやテレビ会議システムを介してインプットするということは容易に可能です。
動画を視聴する、ということも適していると考えます。
(一方的が故に主体は情報受信する受講生にありますが…)
アイデアや意見出し、検討やディスカッション、模擬体験は双方向の情報になりますので、
インターネットやテレビ会議システムを介して実施する際は従来の集合形式とは異なる認識と進め方が必要になります。
代表的な例をいくつか見ていきましょう。
■沈黙
集合形式での研修の際に発生する沈黙は、研修受講者が考えを整理する為の必要な間(ま)なのか、インプットが消化不良なのかといった沈黙の種類を受講生の顔や発する雰囲気から感じることが可能です。
一方で、インターネットやテレビ会議システムを介した際に発生する沈黙は「譲り合い」が起きていることが往々にしてあります。
「誰から話すか」「どのタイミングで話せば良いのか」を受講者間で探りながら進めている結果として沈黙が発生します。(しかも頻発する沈黙なので受講生も辛い時間になります)
これらの傾向を理解した上で、各グループのリーダーを決めて進行をしてもらう等といったグループを組織化することが求められます。
■発生するトラブルが異なる
集合型の研修の際に発生するトラブルは下記のようなものが挙げられます。
・プロジェクターが投影されない
・資料が届いていない
・マイクが入らない
これらのトラブルは、端子やPCの設定を見直したり、資料を印刷したり、マイクを使わないといったトラブルが発生した後に適宜対応することが可能です。
一方でインターネットやテレビ会議システムを介した際に発生するトラブルは、インターネットに接続ができないということを除けば(これはピンチです)、主に下記のようなことが発生します。
・ハウリングしてしまう
・ディスカッションの際に、受講者間で話しを遮ってしまうことが発生する
・定刻になっても始まらない
これらは研修実施前にイヤホンを使うことや意見を話している際には最後まで聴くこと、
意見を聞いている間はマイクをミュートにすることをルールとして守ってもらうことや、研修前に受講者に接続方法や操作方法をレクチャーすることが求められます。
また通信環境によってはビデオをオフにしてもらう等も必要になります。
ハウリング音が延々と続くというような積極的に研修に参加できない、あるいは積極的にコミュニケーションを図ることが出来ないといった環境作りは避けたいところです。
せっかくの研修の機会と時間が無駄になってしまいます。
■オフライン受講者とオンライン受講者の温度差が出る
これはオフライン・オンラインをミックスして実施する際に留意が必要です。
例えば本社や本部の近隣に在住している受講者はオフライン(換気をして受講者間に一定の距離を確保して集合)で実施し、遠隔に在住している受講者はオンライン(自宅等)で実施するようなケースです。
進行の際にどうしても目の前にいるオフラインで参加している受講生に意識が集中し、
オンラインで参加している受講生から見ると、「参加している感覚」が希薄になってしまい、
「参加しているのに参加していない事態」が発生してしまいます。
これを防ぐ為には、過剰な程オンラインで参加している受講生を中心に進行していく必要があります。「過剰な程」で丁度良いです。
研修実施にあたって、これらの趣旨を説明した上で「オンラインで参加している人を中心に意見を出してもらう」といったガイドラインを示してから進めると良いでしょう。
新入社員研修の実施をインターネットやテレビ会議システムを介して実施する担当者の方は、
いつもの研修とは異なる認識や進め方を行う必要がありますので、参考にして頂ければと思います。