MAKING THE ROAD人事部の皆様向けコラム

【Vol.31】試されるオーセンティック・リーダーシップ

育成

ご覧頂きありがとうございます。

2020年も残すところあとわずかになりました。
振り返ると「VUCAここに極まれり」と言っても良い激動の1年でした。

*VUCA(ブーカ)とは、Volatility(変動性・不安定さ)、Uncertainty(不確実性・不確定さ)、Complexity(複雑性)、Ambiguity(曖昧性・不明確さ)という4つのキーワードの頭文字から取った言葉で、現代の経営環境や個人のキャリアを取り巻く状況を表現するキーワードとして使われています。

私もVUCAという言葉は良く耳にしたり口にしていたのですが、正直ここまでとは想像できていませんでした。(おそらく使い始めた人も想像出来ていなかったのでは?と思います)

朝起きて会社に行き職場の仲間と顔と顔を突き合わせてワイワイガヤガヤ仕事をし、気の合う同僚と夕方あたりに「ちょっと一杯行く?」と飲み屋さんで会社や上司の愚痴をこぼすというガス抜きをしながらも明日への鋭気を養うといったようなオフィスワーカーの姿はあまり見られなくなりましたね。

リモートワークとオフィスワークを組み合わせるフレキシブルワークと呼ばれる働き方をする方が増え、上司や部下、同僚が働く姿や時間、仕事のプロセスが見えない中で働くようになりました。

それに伴いオフィスに出社して顔を合わせることで感じ合う空気感に代表される暗黙知を共有出来なくなってしまいました。

このような状況で働く中で今年は特にオーセンティック・リーダーシップが試されるようになったと感じています。

オーセンティック・リーダーシップとは「自分がどういう人間であるか、自身が大事にしている価値観は何かなど言った自分自身の考えに根差したリーダーシップのあり方」のことを差します。

例えば「人間は怠惰なものである」と考えるリーダーは、リモート環境下で働く部下の管理を強化しマイクロマネジメントに走りました。
(社員のPC操作ログを追跡するようなサービスも生まれニュースにもなっていましたね)

そのような上司や会社による監視下に置かれ「信用されていない」と感じた部下は上司への信頼が薄れモチベーションの低下も問題視されました。

一方でリモート環境によって薄れた職場やチームの連帯感を危惧したリーダーは、精神的なメンテナンスを重視しオンライン面談やチャット上で気軽に雑談を交わせるような精神的安心感を持てる環境作りに腐心し、部下の信頼を獲得しました。

どちらのチームが生産性が高いかは一目瞭然ですね。

リーダーが先行き不透明な環境下でどのような考えに基いてどのような行動を取るかを試されることになった1年だったと感じています。

ワクチンの投与が開始されたとは言え、もうしばらくはフレキシブルワークは続くかもしれません。オフィスを無くす会社も出てきています。
場合によってはこれまで当たり前だった働き方は戻ってこないかもしれません。

また組織におけるリーダーという役割を担う方以外にも、組織外の人々と越境的に協働する機会も今後増えてくるでしょう。
リーダーシップはリーダーだけが考える時代ではなくなっています。

あらゆるビジネスパーソンが「自分らしいリーダーシップとは何か?」に対して自覚的になり実践を通じてオーセンティック・リーダーシップを発揮することが求められていくことでしょう。

今年の仕事を振り返る際に自身の取った行動や理由を振り返り、自分らしいリーダーシップ行動を考えることも有用だと考えますので参考になさって頂ければと思います。

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